ちょい(笑)ブログ

まさに名前負け。

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きかんしゃ○○マス


その日、トーマスは車庫に向かって線路を走っていた。
空は抜けるように青く、雲は空を切り取ったように白い。
トーマスは「ディンドンディンドンピッピー♪」などと鼻歌をうたいながら、過ぎ去る木々を横目に「帰ったら、石炭を腹いっぱいに食べるんだ。」などと考えていた。




カーブを曲がった瞬間、目の前の線路に置石がしてあるのが目に入った。
「危ない!」トーマスは叫びながら汽笛を目一杯鳴らしたが、トーマスの叫び声は汽笛にかきけされ運転士の耳には届かなかった。
ガッシャ―――z___ンッ!
「アッー!!」トーマスは線路から投げ出され、地面に倒れこんだ。運転士はトーマスから投げ出され、どこかへ飛んでいってしまった。
「うう…いったい誰が…」




何分たったのだろう、助けが来る気配もなければ、仲間の機関車も通らない。トーマスは泣き出したい気持ちだった。落ち込むトーマスの気持ちとは裏腹に、空は青い。
運転士は大丈夫だろうか、そんな心配に応えるのは、空腹感だけだった。
「お腹、減ったなぁ…」
ふと、呟いたとき、トーマスの耳にどこかから声が聞こえた。
「…か……ん……」




トーマスは、必死に助けを求めた。
「ここです、ここに居ます!お腹が減って…助けてー!」
声は少しずつ近づいてくる、目の前の線路上の先、視界に誰かの姿が見えた。倒れた機関車を起こすのは、一人では無理だろう。それならば、トーマスは、まずは石炭を腹いっぱいに食べたかったので「食べ物を、持ってきて!」と叫んでいた。
声の主は線路の上をトーマスのほうへ向かいながら「なんだー?腹が減ってるのかー?」と、場違いに明るい声を出している。
トーマスの目に彼の姿が映る。「あ、あんたは…」
「腹が減ってるのかい?よし、


 


 


じゃあ、僕の顔を食べるといいよ!」

アンマス




~きかんしゃアンマス・完~

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  1. 2007/10/04(木) 22:02:12|
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四度目の夏(リメイク)


月日の流れは、色んなものを変える。
人だって、例外ではないのだろう。
そう、4年前に別れた恋人に偶然、再会した。




別れの原因は、ありきたりなもの。
彼女に好きな人ができた。
大学の飲み仲間から、発展した恋愛。
若さゆえに、自分勝手な愛し方しかできなかった、
でも、それでいい、と思っていた。
それでいいわけは、無かったのに。




「久しぶり~、偶然だね。」
そう声をかけてきたのは、彼女の方。
交差点、横断歩道、その真ん中で。
4年前とは見違えたその姿に、僕は
言葉を見つけられなかった。
「もう忘れちゃった?」
そう聞かれても、誰だかは理解していても、
突然すぎる再開に、戸惑うしか出来なかった。




「ああ…久しぶり」
やっと出てきた言葉は、驚くほど普通のあいさつ。
しかし、僕らの間に流れていたワダカマリは、4年という時間が流してくれていたらしい。僕が渡ってきた歩道へ2人で引き返す。
少し、立ち話をして、帰ろう、そう思った。


が、
「ちょうど良かった、ちょっと時間ある?」
と、思わぬ誘いを受けた。
予定は何もなかった、不自然な流れに戸惑いながらも
「ああ、大丈夫だけど…」
週末、夕方の街は流れる人で混み合う。
人の波に追われるように、あの頃、
2人でよく通った居酒屋に滑り込む。




お前、変わったなぁ…」
なんて言いながら、お絞りで顔を拭く。
「オッサンじゃないんだから、顔は拭かない!
君はそゆ所、変わらないね~」
4年前に戻ったかと錯覚させられるような会話。
「4年も経ったんだよ、そりゃ変わりもするよ~。女、ナメんなよ~」
なんて会話にも、何故か懐かしさに似たものを感じる。
あの頃と同じように、ビールで乾杯。
「で、なに?」僕は聞いた。
「え?ああ、あたし引き止めたんだったね。」
彼女は切り出した。




結婚するんだ。」
そう言って笑う、彼女の顔は幸せそうだった。
「あたしが一方的にフッってさ、その後、元気ないみたな話も聞いてたから、気にはなってたんだ。でも、何か…ねぇ?」
「言いたいことは分かるけど(笑)」
お互いにもう子供じゃないし、彼女と別れたのは4年も前のことだ。
何か、特別な感情を引き起こされる事もない。
あれから、いくつかの恋愛も経てるわけだし。
だから、
「おめでとう。」
そう素直に言葉は出てきた。
でも、どうしても、聞きたいことがあった。
でも、聞けなかった。




彼女の結婚相手が、誰だかは知らないし、
彼女も言わない、聞こうとも思わない。
いいじゃないか、彼女は幸せを見つけた。
一度は、愛した相手。
今はわだかまりも何も無い。
再開は偶然だとしても、結婚する、と教えてくれたことで、そして、それを素直に祝福できる自分がいることで、何か、彼女との繋がりを感じることができた。
それでいい、と思う。
「乾杯しようか。」
そう告げると、彼女は不思議そうな顔をして
「え?何に?乾杯?結婚に?」
なんて聞いてくる、きっと彼女も僕と同じ繋がりのようなものを感じたのだろう。
4年前と同じ笑顔。
僕は言った、「4年という年月に、乾杯。」




店を出て、帰路につく。
「じゃあ、お幸せに。」
「うん、ありがとう。」
きっと、もう会うことはないだろう。
過去に振られた人の幸せを祝福できる、
あの頃よりは、大人になれたって事かな。
そう思いながら、横断歩道を渡る、
振り返らない。
週末の人ごみは、せわしなく姿を変える、この中に、いくつの幸せが埋まってるんだろう。
そんな事を考えながら、彼女に聞けなかった質問を思い出す。




豊胸手術、した?


 

  1. 2007/08/06(月) 19:00:45|
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未来予想図


いつのまにか、親友だったヤツと疎遠になりつつあった。
小学校の頃は、いつも一緒に遊んだ、決まって野球だった。だけど、俺は中学に入り「野球はダサイ。これからはサッカーだ!」と、トレードマークだった坊主頭を卒業し、サッカーの腕前と一緒に髪の毛も伸ばし始めた。クラスが違ったせいもあってか、俺と親友はあまり話さなくなっていった。でも、本当に疎遠になっていった理由は、別のところにあって、俺はそれに気づいている。




同じ女の子を好きになった。
きっと、それが俺達の友情がギクシャクしだした理由だろう。アイツも―親友のヒロシも気づいてるはずだ。ヒロシは野球を続けている。「俺、高校に行ったら甲子園に行くよ!」って豪語していたらしい、野球は俺のほうが上手かったのに。中学に入学したときは、まだ仲が良かった。サッカー部に入るって言った俺に対してヒロシは「一緒に野球をやりたかったよ。でも、頑張れよ。」って声をかけてくれた、少し寂しかったけど、嬉しかった。




中学になると、友達も増える。
自分で言うのもなんだけど、俺はひょうきんなキャラクタで友達もすぐに増えた。必然的にヒロシと遊ぶ機会も減った。それでも俺は、中学2年になった時、まだヒロシの事を親友だと思っていたから、相談した。「なぁ、ヒロシ。俺さ、大空さんの事が好きなんだ。」大空さんてのは、小学校から一緒だった女の子で、俺はずっと片思いをしていた。ヒロシは笑顔で言った「マジで?頑張って告白しろよ!」




その翌週、小学校で同じクラスだった西原が教えてくれた「お前、小学校の頃から、大空さんの事が好きだったよな。ヒロシもずっと大空さんが好きらしいぜ。ライバル登場だな。お前等、仲良かったのにな。」
この時期から、ヒロシとはあまり会話もなくなった。『親友』だなんて言っても、案外脆いもんだ。ヒロシは、俺がヒロシも彼女を好きな事を知っていると気づいてるだろう。お互い、恋愛にも興味がでてくる時期だ、なおさら同じ女子を好きなやつとは話し辛いだろう。そのまま、中学生活は卒業を迎えようとしていた。




今、俺は中学卒業を目の前にして、大空さんに告白する決心をした。ドリカムの『未来予想図』みたいに、ずっと一緒に笑っていられる。そんな恋愛をしたかった。
中学最後のサッカーの試合が終わったその翌日、俺は大空さんを裏門に呼び出した。「ずっと、君が好きだったんだ。俺と、その…付き合って、くれないかな。」彼女は少し驚いた顔をして、そして一つ息を漏らした、「ありがとう、でもごめんなさい。好きな人がいるの…」そういって背を向けて行ってしまった。そこへ友人の堀川が通りかかった。「あれ?どうしたの?今、大空さんが走っていったけど。」「俺さぁ、フラレちゃったよ。」堀川は、「そっか…」とだけ呟いて、裏門から出て行った。




翌日、西原が面白そうな顔をして近づいてきた。「フラレたんだって?」何処から聞いたのか、いや堀川か…よくない友人を持った。こんなとき、ヒロシなら黙っていてくれたんだろうな、と最近は挨拶程度しか交わさない親友(だった男)の事をふと思った。今日から、どんな顔をして大空さんに会えばいいんだろう、それは些細な、しかし重い気がかりだった。




それから一週間が過ぎた。
教室で西原がまた面白そうな顔をして話しかけてきた「おい、しってるか?ヒロシが大空さんを泣かしたらしいぜ。」俺は、無意識に声を出していた「なんだって!?どういうことだよ!」西原は、誰に聞いたのか詳細を教えてくれた。




西原の話によると、俺が大空さんに振られたことを聞きつけたヒロシが、大空さんを呼び出したらしい。そして「アイツの何処がダメなんだよ!すげーいいヤツじゃないか!」と、俺のために言ってくれて、それに対する大空さんの返事は「だって、アタシ…ヒロシ君の事が好きなんだよ?それでヒロシ君もアタシが好きだって噂を聞いて…だから…」と恥ずかしそうに言ったらしい。
ヒロシは、「…僕は大空さんの事が好きだ。でも、親友のアイツの事を考えたら君とは付き合えない。アイツは、俺の大事な友達なんだ、ごめん。」そう告げて振り向きもせず去っていったらしい。




「ヒロシ…」
俺は、馬鹿だ。アイツは俺の事を今でも親友だと言ってくれている。俺は、友情なんて脆いモノと見切りをつけかけていたのに、アイツは、ヒロシは胸を張って俺を親友だと言ってくれている。…ほんと、俺は大馬鹿野郎だ!急に涙が溢れてきた。西原が窓の外を眺めながら「そう言えば、ヒロシはこの時間、川原で素振りしてるんじゃないかな~」と独り言のように、しかし俺にしっかり聞こえるように言った。俺は小さく「サンキュ」とだけ言って教室を飛び出した。ヒロシに、俺の親友に謝りに行こう。




俺は川原を目指して走った。途中で石につまづいたり、サラリーマンにぶつかったり、信号を無視したりしながら走った。
西原の言ったとおり、ヒロシは川原で素振りしていた。「ヒロシ!」と俺が声をかけると、少し驚いた顔をした後、微笑んだ。すぐそこの自販機で買ってきら缶コーヒを俺はヒロシに投げて渡した。「お、さんきゅ~」ヒロシは、そういってコーヒを一口飲むと、川原に腰を下ろした。俺も隣に腰を下ろす。「で、どうしたの?こうやって話すのも久しぶりだな。」ヒロシはそういって懐かしそうな目をした。俺はこんなに最高な親友から目を背けようとしていたのか。「ヒロシ、ごめんな。」その言葉が、最初にでてきた。ヒロシは不思議そうな顔をして「え?なにが?」とだけ言った。




「西原に聞いたんだ。お前が、大空さんと話をしたこと。お前も大空さんが好きだったのに、俺の気持ちまで考えてくれて…なのに俺…」そこで、ヒロシが遮った「何言ってんだよ、俺達、友達だろ?気にすんなよ!」
また、涙が溢れてきた。
「ヒロシ・・・」ありがとう、って言いたかった。でもその言葉は涙に呑まれて出てこない。ヒロシが言った。「なぁ、ヒロシじゃなくて、小学校の頃みたく呼んでくれよ。」そういってアイツは微笑んだ。
俺は赤い目で笑顔を返して、懐かしい親友の名を、小学校の頃のように呼んだ。ヒロシは夕陽に目を細めて、一言、「おい…」と言い、一呼吸置いて言葉を続けた。




「おい、磯野。野球、やろうぜ。」




ヒロシ―いや、中島の投げた、友情の白球は、しっかりと俺のミットに納まった。




~登場人物~
主人公:磯野カツオ
ヒロシ:中島ヒロシ
大空さん:大空カオリ
西原:西原くん
堀川:堀川くん
サラリーマン:穴子さん

  1. 2007/07/09(月) 17:15:54|
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ハードボイルドアンパンマン(長いよ)


海と山に囲まれたとある町の外れにある工場に一人の男がいる。
日夜、私欲を捨て自らが暮らす町の平和のために活動を続ける男。愛と勇気を胸に悪に立ち向かう彼を、人々はその容姿―顔がアンパンでできている事から彼をこう呼んだ。『アンパンマン』と。
事件は、ある雨の日に起こった。




アンパンマンはもう3日は降り続いている雨から身を守るために、傘をさして歩いていた。ふと、とある路地を通りかかった時、大きなゴミ収集コンテナの陰からうめき声ともとれる物音が聞こえた。何事かと思い、アンパンマンが歩み寄ると、カバのような少年、いや青年が倒れている。
「あ・・・ん。こ・・・パ・・・に・・・」もはや声も出せないほどに疲弊している、そしてカバの体には無数の傷と痣が残されていた。その口を、必死に動かして何かを言おうとしている。




「おい、どうした!?ヒポポタマス!」
アンパンマンは彼に言葉をかけたが、カバは思うように言葉が出てこないらしい、この様子じゃ当然だ。アンパンマンはカバにこう告げた。
「よし、俺の顔を食べるといいさ。」
そういって自分の顔を一握り小さくちぎると、倒れているカバの口に押し込んだ。




「ああ!あんたは、アンパンマン!探していたんだ、急に黒ずくめの男に襲われてこんな目にあった。僕は薄れ行く意識の中でアイツの言葉を聞いた。『生かしておいてやる、目が覚めたらお前のポケットのメモを町外れのパン工場に届けろ』、そう言ってたんだ、アイツ、きっとアンタを狙ってる!」
カバは急に喋りだした。そしてポケットから一枚のメモを取り出した。カバがアンパンマンにメモを渡すと、アンパンマンは無言でメモに目を落とした。




【バタ子は預かった。返してほしければ、一人で埠頭の3番倉庫に来い。
バイキンマン】




「チッ・・・」
アンパンマンは舌打ちをしてからカバに告げた。「酷い目にあわせて済まなかった。今度、美味いアンパンをご馳走するよ。」そういって、アンパンマンは駆け出した。さて、バイキンマンとは、いつの間にかこの町に住みついていた狂気の科学者である。バイキンマンはこの町の支配者になろうとし、これまでも何度かその発明品で町を恐怖に陥れたが、そのたびにアンパンマンに阻止されている。バタ子というのは、アンパンマンの育ての親のようなモノである、そのバタ子を人質に、アンパンマンを抹殺しようと試みたのだろう。




埠頭の3番倉庫には、鍵はかかっていなかった。
ドアをあけると、金属の擦れる音がする。中はがらんとしていて、静かだった。アンパンマンは、照明のスイッチを探してスイッチを入れてみたが、照明はつかなかった。奥に、何かが置いてある。アンパンマンは用心して近づいた。椅子に、人が縛られている、意識はないようだ。




「バタ子さんっ!」
アンパンマンは駆け寄って、縛られている人物―バタ子に声をかけた。頬を軽く叩くと、バタ子は意識を取り戻した。
「バタ子さん、大丈夫か!?今、縄を解く!」
そういって、アンパンマンが縄に手をかけた瞬間、上から水が降ってきた。
バシャッ!
アンパンマンは頭からつま先までビショ濡れになってしまった。
「くっ・・・顔が、濡れて・・・力が、出ない・・・」
アンパンマンはその場にうずくまってしまった。バタ子の叫びが静寂にこだまする「アンパンマーン!」




その静寂を、笑い声が破った。
「はひふははー!まんまと罠にかかってくれたな、アンパンマン!」
声の主は、バイキンマンだった。倉庫の入り口のほうからゆっくりと歩いてくる。アンパンマンはバイキンマンを睨んだ。
「バイキン、てめぇ・・・!」
アンパンマンは立ち上がろうとするが、カバに食べさせたので頭が欠けている上に顔が濡れて力が出ない彼には、戦うことはできなかった。
バイキンマンの足が、アンパンマンの顔にヒットした。
「うっ!」うめき声をあげてアンパンマは倒れる。地面に顔を打ち付ける、口の中が切れたのだろう、口の中にアンコの味が広がった。




バイキンマンは不敵な笑みを浮かべながら言った。
「今日こそ積年の恨みを晴らさせてもらうぞ。この新発明、KABI=ルンルンでな!」
KABI=ルンルン、バイキンマンの発明した生物兵器である。ボツリヌス菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、病原性大腸菌(O157)等の黴菌を調合したものを発射する武器で、人はもちろん特にアンパンマンのような戦闘食物には効果大である。
KABI=ルンルンの砲口がアンパンマンを捕らえ、バキンマンが発射しようとしたその時、倉庫の入り口から黒い影が飛び込んできた。




ドンッ!
影はバイキンマンにぶつかり、バイキンマンは転げた。影はそのままバタ子のところへ向かい、縛っていた縄を噛み切った、大きなドーベルマンだった。
「チーズ・・・」
バタ子は安堵の表情を浮かべた。倉庫の入り口に1200CCはあろうかと思われる、大型のバイクとサイドカーが止まっている、その青い車体には【アンパンマン号】と赤いカッティングがしてあった。
バイクに跨った男が低い声で言った。「ふん、間に合ったようじゃな。」ゴーグルの奥の鋭い眼光、白い髭、大きな鼻が雨の向こうで光っている。




「ジャ、ジャムのおやじ・・・」
アンパンマンは何とか立ち上がりながらジャムを見た。が、次の瞬間、叫んでいた。
「ジャムさん、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」バイキンマンが立ち上がり、KABI=ルンルンをジャムの方へ向けていたのだ、引き金には指がかかっている。
ジャムは、サイドカーからジュラルミンケースを取るとアンパンマンに向かって投げた「受け取れぇーい!」、それと同時にアクセルを全開にした。
「逃がすか、ジャム!しねぇぇぇぇー!」同じタイミングでバイキンマンがKABI=ルンルンを発射する、が刹那のタイミングでアンパンマンが何とかバイキマンにしがみつき、狙いが外れたKABI=ルンルンはバイクに命中した。




「邪魔するんじゃねぇ!お前等はここで終わりだ!」
バイキンマンがアンパンマンを蹴り飛ばす、アンパンマンは再び地面に転がった。額からアンコがはみ出る、それでも彼は諦めない「負けてたまるか・・・俺の愛と勇気はまだ尽きていない・・・!!!」
「アンパンマン、やはりお前から片付けないとダメなようだな。」




ジャムはKABI=ルンルンがバイクに当たったことで操縦を誤り、バイクから放り出されて地面に倒れた。意識の薄れ行くジャムの目に、さっき放ったジュラルミンケースにバタ子が走りよるの姿が映った。
バタ子は…バイキンマンがアンパンマンに気を取られている隙にジュラルミンケースを開けた。ジュラルミンケースの中には・・・ホクホクと美味しそうな湯気を立たせて輝く焼きたてのアンパンがあった。




「これは・・・?」
バタ子はそのアンパンを手に取った。横からチーズが「ワォンッ」と吠えた。その声が合図になったのかバタ子はアンパンマンのほうを向いた。バイキンマンの手のKABI=ルンルンがアンパンマンの顔を至近距離で狙っている。チーズが突然走り出す、バタ子は渾身の叫びをあげた。



「アンパンマン!新しい顔よーッ!」
バタ子は焼きたてアンパンを投げる。キレイな放物線。KABI=ルンルンが発射されると同時に、チーズが体当たりをする。バイキンマンは再び転んだが、KABI=ルンルンはアンパンマンの顔に命中した。見る見るうちに、アンパンマンの顔が腐敗していく・・・「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!・・・あ・・・ぁ・・・」




バイキンマンは立ちあがると同時にチーズに向かって駆け出した。「クソ犬ッ!2度も俺様にッ・・・!許さんぞぉぉぉぉー!」その形相にチーズは凍りついて動けない。バイキンマンの足がチーズめがけて振り上げられる。バタ子は叫ぶ「チィィィィィィィィズゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
その瞬間、小さい声が、しかししっかり通る声が響いた「待て・・・」。
バイキンマンは、足を下ろしてそっと振りかえった。そこには、アンパンマンが立っていた。




バタ子の投げた新しい顔は、アンパンマンの断末魔の悲鳴と同時に彼の顔に命中していた。そして、なんと顔が入れ替わったのだ!瞬く間にアンパンマンは力がみなぎってくるのを感じ、立ち上がり、力強い眼差しで言った。
「ギリギリだったけど、もう大丈夫、勇気リンリンだ。バイキンマン、覚悟はいいか?俺が、元気100倍アンパンマンだ!」




「アンパン・・・貴様っ!」
バイキンマンがKABI=ルンルンを構える。それより一瞬早く、アンパンマンはバイキンマンの懐に入った。「お前に、愛と勇気を教えてやるッ!いざ、ほとばしれ俺の愛と勇気!喰らえッ!!!うおおおぉぉぉぉああぁぁぁぁァァァアアアアアアンパァァァァァァァァァンチッ!!!!!!!!!!!!」


 


アンパンチ


バイキンマンの顔面にヒットした拳は、愛と勇気に満ちていた。「はひふぐふぉ」と声を漏らしバイキンマンはその場で膝から崩れ落ちた。しかし、慈愛に満ちたアンパンマンの拳は、バイキンマンの命までは奪わなかった。「勝った・・・」そう言いながら、アンパンマンはサングラスをかけタバコに火をつけた。バタ子が歩み寄ってくる「アンパンマン・・・」。その時である、倉庫の入り口から真っ赤なスポーツカーが飛び込んできた。




その車はバイキンマンの横でキュキュッと音をたててとまった。ドアが開き、女が降りてくる。
「バイキンマン!いつまで倒れてんのさ、さっさと逃げるわよ!」
「くっ。ド、ドキンちゃん・・・」バイキンマンは意識を取り戻し、女―ドキンと呼ばれた女を見上げた。そして、車に乗り込もうとした。アンパンマンは思わず叫んだ。
「バイキンマン、もう終わりにしてくれ。もう、繰り返さないでくれ!」
バイキンマンは痛みを堪えてアンパンマンに告げた。




「アンパンマン、それは無理だ。お前は光だ、この町の光だ。そして、光あるところには必ず影ができる、俺はその影なのさ。お前が町を照らそうとすればするほど、俺も大きな闇になってお前の前に現れる、ずっと昼間じゃあ、つまらんだろう。世界には夜の闇も必要なんだ。そして俺は夜の、影の世界でこそ幸せを感じれる。ずっとお前を狙い続けるさ。じゃあな、はひふへほ。」




バイキンマンが車のドアを閉めると同時に、ドキンの車は猛スピードで倉庫から走り去った。アンパンマンは思った。『夜の世界が幸せ?幸せってなんだ。バイキンマン、何が君の幸せなんだ?分からないまま終わる、そんなのは嫌だ。だから俺は行くよ、どこまでも。いつまでも君を諭し続ける・・・愛と勇気を知ってほしいから。明けない夜は、ないんだから・・・』
その隣でバタ子が声を出す「あっ、ジャムおじさんは大丈夫かしら!?チーズ!」
ワン!と吠えてチーズが走り寄ってくる、3人でジャムのところへ駆けていく。
「ジャムのおやじ、大丈夫か!?」
声をかけると、ジャムは気を取る戻した。「ん・・・あぁ。大丈夫みたいじゃ。しかし・・・終わったな。」
いつのまにか雨があがって、星の光る空を見上げながら、ジャムは呟いた。




「まだ、終わってなんかないさ。バイキンマンは、また来る。彼の言うように、俺と彼は光と闇なのかもしれない。終わりなんてないのかもな。」
アンパンマンがそう漏らすと、ジャムは言った。「いいじゃないか、今日のところは、だ。しかし、腹が減ったな・・・」
「ええ、お腹がすいたわ。」
「ワォン」




「何か、買ってきてやるよ。ひとっ走りな。」
そういって、アンパンマンは駆け出した。その背中を見送って、ジャムとバタ子は大きく声をだした。
「それいけ!アンパンマーン!」
遠くで、天丼屋が歌っている声が聞こえた。




Fin

  1. 2007/07/04(水) 22:26:53|
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父の日の手紙


今日は父の日ですね。
日頃の感謝をこめて、父親に手紙を書いてみました。




*********




お父さん、いつもありがとう。
初めてこういう形でお父さんに感謝を記してみました、今日もヒゲですか?




お父さん、覚えていますか?
僕と弟が小さい頃(小さいと言っても他所の子よりはかなり大きかったけど)は、2週間に一回は、外食に連れて行ってくれてましたね、決まって土曜日の夕飯でした。その後、家族でカラオケに行ったり、ビデオを借りて帰って80インチ大画面で映画を見たりするのが、僕の楽しみでした。土曜日だけは、夜更かしを許してくれていましたね。夜中に「おい、ラーメン食いに行くぞ!俺はラーメンが食べたい。」と言って、無理やり連れて行かれたラーメン屋は、今は潰れて別のラーメン屋に変わっています。




僕は今、曲りなりにも社会人をやっています。
こんな事、言わなくても僕はお父さんに雇われて働いているのだから知っておられますね。先日、先方様より新たな業務の依頼がありましたこと、お電話でお話させていただいた通りです。また本日、お電話で指示を仰ぎました発注の件ですが、来週早々に注文を済ませておきますので、支払いのほうは頼んだぞ、親父。そう言えば最近は「父さん」って呼ぶより「社長」って呼ぶほうが多いですね、プライベートでも「社長」って呼びますね、「父さん」と呼ぶことは、ほとんどなくなりましたね。何だこの悲しい親子関係。




お父さん、僕は大人になってしまったけど、いつまでも貴方の息子です。
これからも、美味しいお酒とご飯を食べさせてね、だから長生きしてね。




ああ、何故か昔の思い出が蘇ってきました。
覚えてますか?お父さんは、PTAの会長として僕の小学校の卒業式、中学校の入学式・卒業式で、挨拶をしてくれました。お前、目立ちすぎ。中学校の卒業式では、小学校からの同級生は「またお前の親父か。」的な目で、僕を見ていました。正直、恥ずかしかったです。でも、お父さんの挨拶で涙ぐんでいる生徒も居ました、それを見て僕は誇らしく思うどころか「あー、俺はこの挨拶の練習に付き合わされて、何十回もこれを聞いてるから、感動がないな。」なんて思った事を、今でもよく覚えています。




そんな、PTA会長であったお父さんも、家ではただの酔っ払いのオッサンでしたね。あの頃、家で飼っていた犬の散歩に行くと言って出て行き、2時間後、一人で帰ってきたときのお父さんへの苛立ちは忘れもしません。僕とお母さんが夜中の2時まで必死に探し回り、やっと犬を見つけて帰ってきたとき、お父さんは爆睡してましたね。このときの苛立ちは、更に忘れません。



お父さんはよく酔っ払って帰ってきましたね。まだ道交法が厳しくなかったから、車で帰ってきて、車の中で車のドアを開けっ放しで寝ていたこともありましたね。玄関で靴を脱ぎながら寝ていたこともありましたね。玄関でドアに挟まれながら寝ていたこともありましたね。家の前の階段で座り込んで寝ていたこともありましたね。家で寝たら?かと言って家では「シャワーを浴びてくる」と言って2時間も出てこないから心配になって見に行ったら、シャワー浴びながら寝てましたね。いい加減にしろ。




お父さんがホットドッグを焼きながら弟に説教している時に、ホットドッグが焼けすぎて真っ黒に焦げたから余計に怒りマックスになって、弟をボッコボコに殴った時の弟の血の後は、今でも実家の天井に残っています。どんな殴り方したら、天井に血が飛ぶの?弟がアホなのは、お前のせいな気がするぞ。それなのに、「何で、アイツ(弟)はあんなにダメなやつなんだ!」って、これこそまさに自分で蒔いた種!文字通り!




残念な事に、僕達家族は今は誰もが別々の家に住んでいますね。
だけど、僕は血の繋がりは絶対だと思います、いつまでも僕と弟はお母さんと、そしてお父さんの息子です。だから確実にハゲます、恨みます。お父さんは知っていますか?弟の20歳の誕生日に、弟が僕に送ってきたメールの事を。そこには、こんな文がありました。




『お兄ちゃんは、20歳の時は、生え際キテた?』




若干、二十歳にして生え際が後退し始めたという、悲しい弟の真実です。僕も日々、気が気でありません。お父さんの髪が段々と薄くなり、その頭皮を見るたびに、僕は戦々恐々です。そう言えば、お父さんはハゲ対策にリアップをしていましたね。そして、「リアップは合わん!頭皮がかぶれる!」と文句を言ってましたね。でも心配しないで下さい、ツルッパゲになっても、僕の偉大な親父です。最後に一言、言わせてください。




リアップで頭皮が被れたのは、お前が説明書に書いてある量の4倍もの量をふりかけてたからじゃ。

  1. 2007/06/17(日) 16:03:51|
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