ちょい(笑)ブログ

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二人の男

 


彼は、立ち尽くしていた。


 


 


 


どこにでもあるような、休日のはずだった。


いや、彼にとっては、新たな暮らしへの一歩となる


休日だったのだが。


来月から、親元を離れ、一人で暮らしだす。


そのために、今日はデパートへ買い物へきていた。


自炊すると決めていたので、新しく包丁やまな板、


台所周りの品も買った。


 


 


 


そう、希望に満ちた休日になるはずだった。


だけど。


今、彼のいる場所は人通りこそ少ないものの、


きっと、どこにでもある普通の風景。


普通じゃないのは、彼の両手が真っ赤に染まっている事。


彼の手に握られているモノからは、


赤い雫が滴っている。


そして。


彼の背後では、一人の男が腹を抑えてうずくまっていた。


苦しそうな声が漏れている。


 


 


 


彼は、目も虚ろに立ち尽くしていた。


 


 


 


また、男の声が漏れる。


彼は、自分の手に目を落とす。


やはり、赤い。


どうしてこんな事になってしまったのか?


考えようとしても、思考はすぐに


霧散してしまう。


こんなはずじゃ、なかった。


どうして。


その言葉だけが、虚しく頭の中で響く。


 


 


 


背後で唸る男の息遣いが、だんだん荒く、


しかし、弱くなっていく。


そして、一つ息を洩らし…静寂。


彼は、振り返ることも出来なかった。


深呼吸。


今、なすべき事は何か?


まとまらない思考の糸を手繰り寄せるように、


意識を視線を固定。


医者だ。


医者が必要だ。


 


 


 


彼は、弾かれたようにその場を走り去った。


人ごみに飛び込む。


走る。


彼の赤く染まった手を見て、どこかで悲鳴が上がる。


しかし、その悲鳴も彼の足を止めるには至らず、


彼はただ、走りに走った。


 


 


 


彼の立ち去った場所では、まだ静寂だけが


たたずんでいた。


そして。


小さな音。


その静寂を僅かに揺らす吐息。


静かになったはずの、男の息が漏れる。


男は、油汗を浮かべながら立ち上がった。


苦しそうな表情を浮かべながら、視界の端を


よぎったモノに目を留める。


一瞬の沈黙。


悲鳴、否、叫び。


近くに居た人達が押し寄せるのに、時間はかからなかった。


 


 


 


彼は、ただ、医者を求め走った。


口は渇き、息も絶え絶えに、しかし、


起こってしまった事を思い出し、ただ足を動かした。


視界に病院が入ってくる。


彼はその扉に、飛び込んだ。


「突き破った」と言う表現が当てはまるかのように。


彼の赤く…血液であろう色に、染まった両手を見て、


受付嬢が悲鳴をあげる。


彼は、それを気にも留めずに、叫んだ。


 


 


 


 


 


 


「先生!血尿が出たんです!」


 


 


 


デパートのトイレでは、


赤く染まった小便器を見て悲鳴をあげた


一人の男が、腹痛を我慢しながら、


「昨日食べた、牡蠣がダメだったのかなぁ。」


とため息を洩らした。


 


 


 


おしまい。


 


 


 


 


 


僕は健康だから!


管理人:ロッシュ


 

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  1. 2006/10/21(土) 18:50:07|
  2. ちょい読み物(笑)
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